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ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95 「新世界より」

ケルテス指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1960年録音



望郷の歌

ドヴォルザークが、ニューヨーク国民音楽院院長としてアメリカ滞在中に作曲した作品で、「新世界より」の副題がドヴォルザーク自身によって添えられています。

この作品はその副題が示すように、新世界、つまりアメリカから彼のふるさとであるボヘミアにあてて書かれた「望郷の歌」です。

この作品についてドヴォルザークは次のように語っています。
「もしアメリカを訪ねなかったとしたら、こうした作品は書けなかっただろう。」
「この曲はボヘミヤの郷愁を歌った音楽であると同時にアメリカの息吹に触れることによってのみ生まれた作品である」

その言葉に通りに、ボヘミヤ国民楽派としてのドヴォルザークとアメリカ的な語法が結びついて一体化したところにこの作品の一番の魅力があるといえます。
さらに、過去の2作がかなりロマン派的な傾向を強めていたのに対して、この9番は古典的できっちりとしたたたずまいを見せていることも、分かりやすさと親しみやすさを増しているようです。

初演は1883年、ドヴォルザークのアメリカでの第一作として広範な注目を集め、アントン・ザイドル指揮のニューヨーク・フィルの演奏で空前の大成功を収めました。

はち切れんばかりの覇気が詰まった演奏


この録音については、今さら何も付けくわえる必要はないでしょう。
テル・アビブの海岸で遊泳中に高波にさらわれわずか43歳でなくなったことは、今もってクラシック音楽界の痛恨事と言われています。
そんなケルテスのデッカ・レーベルへのデビュー盤がこのドヴォルザークの「新世界より」でした。
デッカがこの若き指揮者をウィーンフィルとの組み合わせでデビューさせたことは、いかに彼が期待されていたかの表れです。そして、演奏の方も、長くこの作品のスタンダード盤としての地位を保持する素晴らしいできばえとなっています。

基本的な造形はセル&クリーブランドのような精緻な演奏とは随分と異なります。かといって、民族的な情緒に寄りかかった曲線的な曲作りとも全く異なります。
基本的には、非常にシンフォニックなスタイルで仕上げているのですが、鳴らすところは結構荒々しく鳴らし切っているのです。特に、ティンパニなどは「叩きまくっている」という感じですね。また、テンポに関しても結構大きく動かしているようなのですが、オケが豪快になっているのでナヨッとした雰囲気は全くありません。

一言で言えば、はち切れんばかりの覇気が詰まった演奏だと言えるのでしょうか。

録音に関しても、この時代のデッカ録音らしく細部の音まで明晰にとらえられています。音質面での不満は全く感じないレベルに達しています。