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ラフマニノフ:前奏曲集より(6曲抜粋)


(P)リヒテル 1959年5月録音をダウンロード


ショパンへのオマージュでしょうか?



ラフマニノフは最初から全ての調性を渡り歩く24曲からなる前奏曲集を作曲するつもりはなかったようです。
まずは手始めに、「幻想的小品集」というピアノ曲を発表するのですが、この中の第2曲「前奏曲嬰ハ短調」が非常な人気を博するようになります。まあ、これに気をよくしたわけではないのでしょうが、ラフマニノフはこれを足がかりに、ショパンの前奏曲集のような作品を構想するようになります。
そうして発表されたのが10曲からなる作品番号23の「前奏曲集」です。
「前奏曲嬰ハ短調」とあわせると11曲という事で、何とも言えず中途半端な感じがあるのですが、それでもこの時期には24曲からなる完成形ははっきりイメージしていたことは調性にダブりがないことからもはっきりとうかがうことができます。

1892年
前奏曲嬰ハ短調

1903年
10の前奏曲 作品23


  1. 嬰ヘ短調 ラルゴ

  2. 変ロ長調 マエストーソ

  3. ニ短調 テンポ・ディ・ミヌエット

  4. ニ長調 アンダンテ・カンタービレ

  5. ト短調 アラ・マルチア

  6. 変ホ長調 アンダンテ

  7. ハ短調 アレグロ

  8. 変イ長調 アレグロ・ヴィヴァーチェ

  9. 変ホ短調 プレスト

  10. 変ト長調 ラルゴ



そして、1910年には残りの13曲が一気に作曲されて、24曲からなる前奏曲集が完成します。
13の前奏曲 作品32


  1. ハ長調 アレグロ・ヴィヴァーチェ

  2. 変ロ短調 アレグレット

  3. ホ長調 アレグロ・ヴィヴァーチェ

  4. ホ短調 アレグロ・コン・ブリオ

  5. ト長調 モデラート

  6. ヘ短調 アレグロ・アパッショナート

  7. ヘ長調 モデラート

  8. イ短調 ヴィーヴォ

  9. イ長調 アレグロ・モデラート

  10. ロ短調 レント

  11. ロ長調 アレグレット

  12. 嬰ト短調 アレグロ

  13. 変ニ長調 グラーヴェ



ラフマニノフは、「音の絵」と題する練習曲集も残していますから、ショパンに対する尊敬の念は非常に強かったのでしょう。(私の想像の域を出ませんが・・・^^;)

リヒテルというピアニストの縮図

リヒテルという「幻のピアニスト」の凄さを世界中の人々がはっきりと認識したのは、ドイツ・グラモフォンが1959年に行った一連の録音によってでした。もちろん、50年代の初め頃からは一部の人々の間ではリヒテルの存在はも知られていたようです。特に、1958年2月25日のソフィアでのリサイタルのライブ録音や、ソ連滞在時にリヒテルの演奏を聴いたクライバーンの証言(生涯で聞いたなかでもっともパワフルな演奏であった)などによって、鉄のカーテンの向こうにとてつもないピアニストがいるという噂は次第に広がり始めていました。そして、その凄さを噂としてではなく事実として多くの人々が耳にしたのがこの一連の録音によってでした。



協奏曲のオケは全てワルシャワ・フィル、指揮者はスタニスラフ・ヴィスロツキとヴィトルド・ロヴィツキでした。
今から見れば、オケと指揮者が見劣りするのは残念ですが、聞いてみるとリヒテルのピアノに触発されたのか、なかなかに健闘しています。
とは言え、聞くべきは言うまでもなくリヒテルのピアノです。

いやはや、凄いものです。そして、この幻のピアニストに出会った当時の西側の人々の驚きというか衝撃というものが今でもはっきりと感じ取ることができます。そして、クラシック音楽というものは、基本的には最高のエンターテイメントなんだと言うことを思い出させてくれます。
その凄さを、私自身が一番感じ取れたのは、世間では名盤として名高いラフマニノフの2番ではなくて、前奏曲集の方でした。

特に作品番号23の2。
おそらく、この演奏には何の説明も必要はないでしょう。そして、クライバーンの「生涯で聞いたなかでもっともパワフルな演奏であった」という言葉を素直に受け入れることができます。
そして、同じく作品番号23の4。
これは先の音楽とは違って静謐さの限り。

もちろん、この2つの小品を聞いただけでリヒテルの全てが分かる等と言うつもりはありませんが、しかし、この二つの作品の演奏にリヒテルというピアニストの縮図を聞き取ることは可能かと思います。

そんなわけで、まずはこの前奏曲集から6曲だけ抜粋した録音を手始めにアップすることにしました。
何度聞いても凄いものです。