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ヴィヴァルディ:2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 RV514


(Vn)オイストラフ&スターン オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1959年12月31日録音をダウンロード

  1. ヴィヴァルディ:2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 RV514「第1楽章」
  2. ヴィヴァルディ:2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 RV514「第2楽章」
  3. ヴィヴァルディ:2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 RV514「第3楽章」

協奏曲のスタイルを確立した作曲家



ヴィヴァルディと言えば「四季」しか思い浮かばない人が多いと思いますが、実は多作な作曲家でした。
私の手もとにも全集のボックス盤があるのですが、結構な重量物です。
そして、その大半を占めるのが「協奏曲」のジャンルです。楽譜が残されているものだけでも500曲を超えます。

後世との関係でいえば、ヴィヴァルディの最大の功績はこの「協奏曲」というジャンルをコレッリなどから引き継いで完成させたことが挙げられます。

コレッリの時代に「協奏曲」といえば基本は「合奏協奏曲」でした。
「合奏協奏曲」とは聞き慣れない言葉ですが、独奏楽器群(コンチェルティーノ)とオーケストラの総奏(リピエーノ)に分かれ、2群が交代しながら演奏する楽曲のことです。

ヴィヴァルディも最初はこのスタイルで作品を書き始めるのですが、やがて一人の独奏楽器の奏者にオーケストラの総奏が対峙するスタイルに変化していきます。そして、3楽章構成を基本として「急ー緩ー急」という「ヴィヴァルディ・タイプ」を確立しました。
この基本スタイルに大きな影響を受けたのがバッハでした。
そして、この偉大なバッハに影響を与えた作曲家、と言う文脈で20世紀に入ってから再発見されたのがヴィヴァルディだったわけです。

ヴィヴァルディが「合奏協奏曲」のスタイルを捨てて「独奏協奏曲」のスタイルで書いた作品は300曲を超えるといわれています。そして、その大半がヴァイオリンのための協奏曲でした。
その事は、彼自身がヴァイオリンの名手であり、興行主としてお金儲けに熱心だったことが関係しています。

そして、その膨大なヴァイオリン協奏曲の他に二つの独奏ヴァイオリンのための協奏曲も25曲ほど残されています。「RV(リオム番号)」でいえば「RV505」から「RV530」までです。
このスタイルが「合奏協奏曲」から「独奏協奏曲」への過渡期の作品なのか、それとも「独奏協奏曲」の発展形なのかは資料を調べた限りではよく分かりませんでした。しかし、独奏楽器の名人性ということでは控えめな感じがするので、雰囲気としては「過渡期」の作品と見るのが妥当なのかもしれません。


  1. 2つのヴァイオリンのための協奏曲 ハ短調 RV509

  2. 2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ長調 RV512

  3. 2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 RV514

  4. 2つのヴァイオリンのための協奏曲 ト短調 RV517



売れ筋を狙ったのでしょうか?

ヴァイオリンの独奏者にオイストラフとスターンを招き、バックにオーマンディ&フィラデルフィア管弦楽団を配するという豪華な顔ぶれで、どうしてこのような作品を録音しようという話になったのかがどうしても理解できません。
そこに、なにかの「芸術的価値」もしくは「芸術的興味」があったとはどうしても思えません。

確かにヴィヴァルディは協奏曲というスタイルを確立するという「いい仕事」を成し遂げた人ですが、しかし個々の作品を見てみれば「「同じ協奏曲を書き換えただけのものだ」との酷評にも何となく納得してしまう部分があるのも事実です。耳あたりの良い、そして発止とした音楽を書いたことは否定しませんが、何を聴いてもみんな同じように聞こえることも事実です。

となると、これは、やはりレーベル側が持ちかけた「おいしい仕事」だったのかな?と思わざるを得ません。
時は、イ・ムジチの仕掛けた「四季」でバロック音楽はブームになっていました。ですから、そのブームに乗って、このビッグネームで一儲けを狙ったと見ても、それほど穿った見方とは言えないでしょう。

ただ、これを聴いて面白いなと思ったのは、「四季」の時には独奏者が身内のコン・マスだったので弦楽器オケは好き勝手に弾きまくっていましたが、さすがに独奏者にオイストラフとスターンを招くとそう言うわけにはいかなかったようです。
妙に、行儀良くバランスをとってしまっているのが実に残念です。

願わくば、このオイストラフとスターンに喧嘩を仕掛けるような爆走をしてくれて、それにこの両巨頭が突っかかってくれたならば、それこそ一期一会の演奏が聴けたはずです。
どうせやるなら、そこまでやってほしかったです、オーマンディさん!!