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パガニーニ:カプリース(全24曲)

(Vn)マイケル・レビン:1958年録音


  1. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [1.Caprice in E major "L'Arpeggio": Andante]
  2. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [2.Caprice in B minor: Moderato]
  3. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [3.Caprice in E minor: Sostenuto - Presto - Sostenuto]
  4. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [4.Caprice in C minor: Maestoso]
  5. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [5.Caprice in A minor: Agitato]
  6. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [6.Caprice in G minor "The Trill": Lento]
  7. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [7.Caprice in A minor: Posato]
  8. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [8.Caprice in E-flat major: Maestoso]
  9. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [9.Caprice in E major "La chasse": Allegretto]
  10. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [10.Caprice in G minor: Vivace]
  11. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [11.Caprice in C major: Andante - Presto - Andante]
  12. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [12.Caprice in A-flat major: Allegro]
  13. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [13.Caprice in B-flat major "Devil"s Laughter": Allegro]
  14. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [14.Caprice in E-flat major: Moderato]
  15. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [15.Caprice in E minor: Posato]
  16. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [16.Caprice in G minor: Presto]
  17. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [17.Caprice in E-flat major: Sostenuto - Andante]
  18. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [18.Caprice in C major: Corrente - Allegro]
  19. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [19.Caprice in E-flat major: Lento - Allegro Assai]
  20. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [20.Caprice in D major: Allegretto]
  21. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [21.Caprice in A major: Amoroso - Presto]
  22. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [22.Caprice in F major: Marcato]
  23. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [23.Caprice in E-flat major: Posato]
  24. Paganini:24 Caprices for Solo Violin, Op.1 [24.Caprice in A minor: Tema con Variazioni (Quasi Presto)]

多くの作曲家に多大なる影響を与えた作品




この作品は言ってみればヴァイオリンの演奏技術の見本市のようなものだといえます。ここには彼が独学で開発して習得した様々な高度な技術が詰め込まれています。(ダブルストップ・左手のピチカート・フラジョレットなどなど・・・)
しかし、聞いてみれば分かるように、この作品にはそれだけにとどまらない何か鬼気迫るような雰囲気が醸し出されていくところにも魅力があります。
ですから、意外なほどにこの作品は多くの作曲家にインスピレーションを与え、有名なところだけでもざっと以下のような作品を生み出すきっかけとなっています。

★ ヨハン・ネポムク・フンメル
ピアノのための幻想曲「パガニーニの思い出」
★ ロベルト・シューマン
パガニーニのカプリスによる練習曲 Op.3 (6曲)
パガニーニのカプリスによる練習曲 Op.10 (6曲)
★ フランツ・リスト
パガニーニによる超絶技巧練習曲集 S.140 (6曲)
パガニーニによる大練習曲 S.141 (6曲)
★ フェルッチョ・ブゾーニ
パガニーニ風の序奏とカプリッチョ
  ★ ヨハネス・ブラームス
     パガニーニの主題による変奏曲 イ短調 Op.35
  ★ セルゲイ・ラフマニノフ
パガニーニの主題による狂詩曲 イ短調 Op.43

この一事を見るだけで、単なる技巧のひけらかしとは言い切れない作品だと納得するはずです。

<曲目リスト>

1. 奇想曲第1番ホ長調
2. 奇想曲第2番ロ短調
3. 奇想曲第3番ホ短調
4. 奇想曲第4番変ホ長調
5. 奇想曲第5番イ短調
6. 奇想曲第6番ト短調
7. 奇想曲第7番イ長調
8. 奇想曲第8番変ホ長調
9. 奇想曲第9番ホ長調「狩猟」
10. 奇想曲第10番ト短調
11. 奇想曲第11番ハ長調
12. 奇想曲第12番変イ長調
13. 奇想曲第13番ト短調「悪魔の笑い」
14. 奇想曲第14番変ホ長調
15. 奇想曲第15番ト長調
16. 奇想曲第16番ト短調
17. 奇想曲第17番変ホ長調
18. 奇想曲第18番ハ長調
19. 奇想曲第19番変ホ長調
20. 奇想曲第20番ニ長調
21. 奇想曲第21番イ長調
22. 奇想曲第22番ヘ長調/ニ短調
23. 奇想曲第23番変ホ長調/ハ短調
24. 奇想曲第24番イ短調

並々ならぬ意気込みで録音

マイケル・レビン( 1936年5月2日 - 1972年1月19日)という名前を今も記憶している人はそれほど数多くはないでしょう。
50年代に、若くして彗星のように登場した神童であり、「ハイフェッツの再来」とまで持て囃されたヴァイオリニストでした。このサイトでも、すでに彼の録音を幾つか紹介しているのですが、私のコメントはいつも辛口でした。

このパガニーニのカプリッチョ(カプリース)に関しては、かつてリッチの録音を紹介したときに「パールマン・ミンツ・レビンなどが若い頃に録音した演奏はどれもこれも見事なまでの技巧の冴えを見せてくれています。」と述べていたように、技巧的な完璧さに関しては二重丸です。
ただ、こういう作品を取り上げるときにその事は当然の前提であって、贅沢な聞き手はその上になにがしかのプラスαを求めるのです。

そして、そのプラスαはリッチの場合は「聞いているときの爽快感」であり、この作品のベストと私が信じて疑わないMidor Gotoの場合は「パガニーニがこの作品に込めた内面的な凄味」がにじみ出すのです。
そう思って、再度レビンのカプリースを聞き直してみると、そこには与えられた答案用紙に向かってひたすら正しい解答を書き続ける「神童」の姿しか浮かび上がってこないのです。

レビンは52年からグァルネリ・デル・ジェスと信じられていたヴァイオリンを使用していたのですが、その楽器に常に不満を感じていたようです。そして、その不満を解消するために、58年にその楽器を売り払って、ヤン・クーベリックが所持していたグァルネリを手に入れます。
このカプリースの録音はその新しい楽器を入手した1ヶ月後に行われたものなので、レビンの意気込みも並々ならぬものだったようです。

ちなみに、彼がこのヴァイオリンを入手するために売り払ったグァルネリの方は、後の鑑定でグァルネリの弟子の作であることが判明したそうです。その意味では、彼の楽器に対する鑑定と要求はきわめてすぐれたものだったと言えます。
しかし、自分が本当に納得できる楽器を手に入れ、さらには大西洋を何度も往復する必要がないように契約先をEMIからキャピトルに変更して意気揚々と新しいスタートラインにたったレビンだったのですが、その後の人生は誤算続きでした。

一頃で言えば、若い頃の彼の中に「ハイフェッツの再来」を見いだした人は、60年代に入った20代半ばの彼に「ハイフェッツ」になることを求めたのです。60歳を超えたハイフェッツは若い頃のように活発には演奏活動をしなくなっていましたから、多くの人はその世代交代を求めたのでしょうか。
しかし、その期待は彼にとってはあまりにも荷が重いものであり、そして、それが不可能だと一番最初に見切ったのがレコードか会社(キャピトル)でした。
レビンはパガニーニのような傍流の作品ではなくベートーベンやブラームスの録音を要求したのですがキャピトルはそれを決して認めようとはせず、契約の延長そのものも却下してしまったのです。
結果として、レビンのスタジオ録音は59年を持ってほぼ完了してしまうのです。

もちろん、キャピトルとの契約が破棄された後も演奏活動は続けるのですが、やがて薬物におぼれるようになり72年には自宅で転倒して頭を強打したことが原因でこの世を去ってしまいます。パリの自宅から飛び降りて命を絶ったフェラスと同様に、レビンの死も自殺ではないかと言われています。

ヴァイオリンという楽器には、どこか人を狂わせて破滅へと誘うような悪魔性があるのでしょうか。
そして、そう言う悪魔性に憑り殺されないためには、ハイフェッツやオイストラフみたいな常人を超えたような傲岸さを持つか、そこそこのレベルでとどまってしまうか・・・なのかもしれません。