クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~



FLAC データベース>>>Top

リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲 Op.34


イーゴリ・マルケヴィチ指揮:ロンドン交響楽団 1962年10月10日~22日録音をダウンロード

  1. Rimsky-Korsakov:Capriccio Espagnol Op.34 [1.Alborada]
  2. Rimsky-Korsakov:Capriccio Espagnol Op.34 [2.Variazioni]
  3. Rimsky-Korsakov:Capriccio Espagnol Op.34 [3.Alborada]
  4. Rimsky-Korsakov:Capriccio Espagnol Op.34 [4.Scena e canto gitano]
  5. Rimsky-Korsakov:Capriccio Espagnol Op.34 [5.Fandango asturiano]

古今東西の数ある管弦楽曲の中の最高傑作の一つ



もともとはヴァイオリンのコンチェルト風の音楽として着想された作品ですが、最終的にはヴァイオリン独奏をふんだんに盛り込んだ輝かしいオーケストラ曲として完成されました。構成上は5楽章からなるんですが、連続して演奏されるために単一の管弦楽曲のように聞こえます。ただ、それぞれの楽章はホセ・インセンガなる人の手になるスペイン民謡集から主題が借用されていて(手を加えることもなく、そっくりそのまま!!)、その主題をコルサコフが自由に展開して仕上げる形をとっていますので、5楽章というのはそれなりに意味を持っていると言えます。


  1. 第1楽章:アルポラーダ(朝のセレナード)::スペインの輝かしい朝を思わせる派手な音楽です。

  2. 第2楽章:変奏曲(夕べの踊り)::第1楽章とは対照的な夕べの穏やかな雰囲気がただよう音楽です。

  3. 第3楽章:アルボラーダ::第1楽章と同じ主題ですが、半音高い変ロ長調で演奏され、オーケストレーションも変えられています。(ヴァイオリンとクラリネットが入れ替わっている・・・等)

  4. 第4楽章:ジプシーの歌::小太鼓の連打にヴァイオリンの技巧的な独奏とジプシー情緒満点の音楽です。

  5. 第5楽章:ファンダンゴ::カスタネットやタンブリンの打楽器のリズムに乗って情熱的な踊りが展開されます。フィナーレはまさに血管ブチ切れの迫力です。



おそらく、古今東西の数ある管弦楽曲の中の最高傑作の一つでしょう。この曲の初演に当たって、練習中の楽団員からたびたび拍手がわき起こってなかなか練習が進まなかったというエピソードも残っているほどです。
チャイコフスキーもこの作品を取り上げて「作曲者自身が現代一流の音楽家であると自認して良いほどの素晴らしい管弦楽法を見せる」と絶賛しています。

こういう作品を前にすると「精神性云々・・・」という言葉は虚しく聞こえるほどです。クラシック音楽を聞く楽しみの一つがこういう作品にもあることをマニアックなクラシック音楽ファンも確認する必要があるでしょう。

恐いものを見たい人には絶対にお薦めの一枚です

リムスキー=コルサコフの「スペイン奇想曲」と言えば、真っ先に思い浮かぶのはアンタル・ドラティ指揮によるロンドン交響楽団とのMercury録音です。
あれは、今もって管弦楽の録音としては5本の指にはいることは間違いなほどの優秀録音です。そして、ドラティとロンドン響もその優秀録音のサポートも受けてこの上もなく切れ字の良い演奏を展開しています。

その演奏と録音がどうしても「すり込み」として私の頭の中には存在するので、聞き始めたときは、さすがのマルケヴィッチを持ってしてもその切れ味には到底及ばないなと思ってしまったのです。
しかしながら、聞き進む内に演奏が次第に熱を帯びてくるのが分かります。こういう事はライブなら時にはあることなのですが、スタジオでの録音では極めて珍しいことです。

おそらくは、己の意図に反して反応の鈍いロンドン響に対して次第に渇を入れはじめたのでしょう。その強引なまでのドライブはまさにオーケストラの首根っこをつかんで「さあ、こっちだ!!」と言わんばかりの強引さというか、強烈な統率力です。
そして、その勢いはとどまるところを知らず、最後のフィナーレに向かってとんでもないことになっていきます。

おそらく、全体的なバランスから言えばドラティ盤に軍配が上がるのでしょうが、恐いものを見たい人には絶対にお薦めの一枚です。
それにしても、マルケヴィッチって、オケのメンバーからすれば本当に恐かったんでしょうね。そして、そう言う恐い指揮者が絶滅してしまった「今」という時代は幸せなのか不幸なのか、うーんと考え込んでしまいます。
そして、そのマルケヴィッチの棒に最後まで食らいついたロンドン響のメンバーに心方拍手を送りたいと思います。

そして、さらに付け加えるならば、指揮者もオケもぬるま湯につかったような演奏を世界中に聞かせて・・・、いや、止めておきましょう。今年のおみくじは「大吉」でしたが「口は慎め!」と忠告してくれていましたから・・・。(^^;