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ドビュッシー:3つの交響的スケッチ「海」


エデゥアルト・ファン・ベイヌム指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 1957年5月27日~28日録音をダウンロード

  1. Debussy:La Mer, trois esquisses symphoniques [1.De l'aube a midi sur la mer]
  2. Debussy:La Mer, trois esquisses symphoniques [2.Jeux de Vagues]
  3. Debussy:La Mer, trois esquisses symphoniques [3.Dialogue du Vent et de la Mer]

ドビュッシーの管弦楽作品を代表する作品



「牧神の午後への前奏曲」と並んで、ドビュッシーの管弦楽作品を代表するものだと言われます。
そう言う世間の評価に異議を唱えるつもりはありませんが、率直な感想としては、この二つの作品はたたずまいがずいぶん違います。

いわゆる「印象派」と呼ばれる作品ですが、この「海」の方は音楽に力があります。
そして曖昧模糊とした響きよりは、随分と輪郭線のくっきりとした作品のように思えます。

正直申し上げて、あのドビュッシー特有の茫漠たる響きが好きではありません。
眠たくなってしまいます。(^^;

そんな中でも聞く機会が多いのががこの「海」です。

作曲は1903年から1905年と言われていますが、完成後も改訂が続けられたために、版の問題がブルックナー以上にややこしくなっているそうです。

一般的には「交響詩」と呼ばれますが、本人は「3つの交響的スケッチ」と呼んでいました。
作品の雰囲気はそちらの方がピッタリかもしれません。

描写音楽ではありませんが、一応以下のような標題がつけられています。


  1. 「海の夜明けから真昼まで」

  2. 「波の戯れ」

  3. 「風と海との対話」




コンセルトヘボウらしいほの暗い音色による音楽

私は率直に行ってドビュッシーの音楽はそれほど好きではありません。あの茫漠とした響きによって形づくられる音楽というものとどうしても相性が合わないのです。ただし、その誰もが聞かなかった繊細な和声によって構成される音楽こそがドビュッシーの真骨頂であることは頭では理解はしているのですが、心はどうにも「嫌い」と言ってしまうのです。
ですから、私が彼の作品を聞いて「これって意外といい感じだね!」と思うような演奏は、ほんとうにドビュッシーが好きな人からすれば困った演奏だと言うことになることが多いのです。

例えば、彼の代表作とも言うべき「ラ・メール(海)」をセル&クリーブランド管の演奏で聞くのはそれほど悪くはないのですが、それはあのドビュッシーの茫漠たる響きを生み出す内部構造の隅々にまで光を当てて、その秘密をあからさまにするような明晰さと精緻さを兼ね備えているからです。しかし、そこでは茫漠たるドビュッシー本来の姿は消え失せているかもしれないので、ドビュッシーがほんとうに好きな人にとっては願い下げにしたい演奏かもしれないのです。

そして、このベイヌム&コンセルトヘボウによるドビュッシーです。
私はこのコンビによる演奏を大いに楽しみましたので、これまたドビュッシー好きな人にとっては「なんだかね・・・(^^;}となるのかもしれません。

この演奏は一言で言えば、コンセルトヘボウというパレットの上に並べられている音色というものがどれもこれもくすんだ色合いを持っていて、さらには指揮者であるベイヌムがそのパレットの上の絵の具を結構厚めに塗り重ねているのです。
結果として、例えば「ラ・メール」などは、まるで後期ロマン派の管弦楽組曲であるかのように響くので、私としては悪くない演奏なのです。
しかしながら、「こんなのドビュッシーじゃないよ!」と言う人がいてもそれは当然であって、私もそう言う評価を決して否定はしません。

それにしても、コンセルトヘボウとドビュッシーというのはあまりピンとこない組み合わせなのですが、それでも「この組み合わせならばおそらくはこうなるだろう!」と言う期待を裏切らない演奏であることは間違いありません。

なお、ちなみに、ベイヌムとコンセルトヘボウは1957年5月27日と28日の2日間で以下の4作品を録音しています。

  1. 交響詩「海」~3つの交響的スケッチ

  2. 夜想曲

  3. スコットランド行進曲

  4. 英雄的な子守唄


ちなみに、この録音が「Philips」にとっては初めてのステレオ録音だったようです。と言うことは、ベイヌムとコンセツトヘボウにとっても初めてのステレオ録音だったと言うことになります。
ところが、どういう訳か、このすぐ後(6月4日)に録音されたにアルテュール・グリュミオーをソリストにむかえたベートーベンの協奏曲では再びモノラル録音に舞い戻っています。ということは、このドビュッシーのステレオ録音は「実験段階」の録音だったと言うことになるようです。ただし、その録音クオリティは決して悪くはないので、何故にそのすぐ後の録音をモノラルにしたのかは理解に苦しみます。

よくEMIはモノラルからステレオへの移行に遅れをとったと言われるのですが、それ以上に考えが古かったのは「Philips」だったようです。
そのあたりにも、1953年にレーベルを「Decca」から「Philips」に移行したベイヌととコンセルトヘボウの不幸があったのかもしれません。

なお、「スコットランド行進曲」や「英雄的な子守唄」はマイナー作品なので、私としてはそれほど比較対象を持っていないのであまり明確なことはいえないのですが、「夜想曲」などを聞く限りは「ラ・メール」ほどではないにしても、コンセルトヘボウらしいほの暗い音色による音楽作りというポリシーは貫かれているようです。そして、そう言う特色がハイティンクからシャイーへと引き継がれていく中で失われていってしまったのは返す返すも残念な事でした。

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